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2008/09/08更新 |
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「馬政権誕生後の台湾の今」
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7月から8月にかけて、台湾の政府要人や財界の方々と何度か話をする機会を得た。(カンガルー日記を参考に)
特に8月は2度訪台、馬総統以下、現政権の主だった閣僚や政府要人ともお会いし、率直な意見の交換をみた。
今の私のストレートな感想は、台湾は日本を重要なパートナーとして位置づけており、今まで日本に対して接触が少なかった(国民党自体は永い日本との関係で、いくつもパイプがあるが)馬総統以下、その側近の人達も「対日関係の重要性」や今まで足りなかった日本へのアプローチを、政権をあげてやっていきたいという強い意志は肌で感じた。
とりわけその方向性をしっかりと行動で示したのが、次期駐日大使の人選と言える。日本通であり、親日家の前大使 許世階氏の後は「一体誰になるのか!?」という心配は日本側にあった。
しかも5月20日の総統就任後、約3ヶ月間も決まらずその間、許世階大使は、尖閣諸島(魚釣島)での台湾漁船の領海侵犯の事件においての事後処理で、つらい立場に立たされたが、両国の交渉の最前線に立って、努力された結果、又衆議院議員玉澤徳一郎先生(亜東親善協会会長)も訪台、王金平立法院長と直接交渉する等、とりあえずは、大きな政治問題に発展することなく収束した。
これは永年の日・台の政治の場での積み重ねで、また信頼関係によるところが大きい。
そんな中、今回駐日大使として9月27日に着任する事が決まった「馮寄台」氏は、馬総統とは肝胆、相照らす仲であり、ハーバード大学留学時代からの2人の人間関係は知る人ぞ知る仲で今日まで続いている。
もともと馮次期大使は、馬総統の選挙が終われば一切の仕事(第一線)から身を引き、ご高齢の御母堂の面倒を見たいと早い機会から馬総統には申し入れておられた様で、御家族もそれを聞いて安心されていた。
ところが今回の大使人事において「人事は一番大切なメッセージ」と同時に、政権を占うものであり新たな対日関係の構築、更なる新たな日台関係の信頼関係構築の為に、馬総統は馮氏を選択、その為に自らが馮氏の母上のもとに出向き「馮氏」の駐日大使受け入れを直接お願いされたという話を聞かされ非常に感動した。
その馮氏と8月27日、約2時間近く昼食を共にしながら、多岐にわたってお話をさせていただいた。
着任が決定した後、日本の国会議員に会われるのが我々であったという事も感激した。
小学校の前半の頃しか日本に住んでおられないという事で「日本語は酒を飲まないと喋れない」と冗談交じりで言われていたが、流暢な日本語を話され、日本人に理解してもらおうとの姿勢を強く感じた。
さて現在の台湾だが、陳水扁前総統は家族ぐるみの資産隠し、マネーロンダリング(選挙資金の蓄財等)で検察当局の取調べを受けており、私達が台北にいった日も息子夫婦がアメリカから召喚され、取調べを受けるなどクリーンなイメージや清新な政治姿勢を覆すような今回のスキャンダルに、民進党はじめ支持者達は失望し、民進党も結党以来の危機を迎えている。
もちろん何度かお会いした私も、情けなく、残念で仕方がない。
そんな中、民進党支持者が中心に8月末に馬政権打倒のストを行うとの情報を得て、訪台中に蔡英文・民進党主席とお会いした際、「この際はストなどやっている場合では無いのではないか。日本から見てもどうやっても支持されませんよ」と申し入れをしたが、蔡主席は「私達が主催ではないのでどうしようもない」と半ばあきらめ顔で言っておられた姿は台湾での今の民進党の立場を象徴しているようであった。
しかし馬政権の前途も楽ではない。
選挙公約であった「633(ろくさんさん)」、いわゆる年6%以上の経済成長、1人当たり年間3万ドルの所得、そして3つ目に失業率を3%以下に抑えるという公約は、「2期目の最終年の2016年に達成」と大幅な方向転換を打ち出した。これは今後公約違反という強い批判と共に、大きな問題となっていくであろう。
また、急激な対中接近政策も本土人、いわゆる独立派からの攻撃材料として、議論がなされていくことになる。
更に、ここにきてグルジアからの独立を求める南オセチア自治州(埼玉県ほどの面積で人口は約7万人、ロシアとは高さ4千メートル近いカフカス山脈で隔てられトンネル1本でつながっている)の問題による米・露対立であり、今すぐという事にはならないだろうが少なからず今後の進展によって中・台に影響を与えるのではないかと懸念する。
南オセアチアに対するグルジア軍の攻撃が正当化されれば、台湾海峡での中国の武力行使も同様となり得るからである。
グルジアにとって「南オセアチア」は中国が台湾は国内の一部分であるという認識と同じであろう。
ロシアはグルジア紛争に介入し、南オセアチアとアブハジア自治共和国の独立を承認したが、米露対立の構図の中、台湾を自国の領土と主張する中国にとっては、マイナスと写るかもしれないが、逆に今は中国のプレゼンス(存在感)を高めているところがあって、中国にとっては台湾問題を抱えていてもマイナスにはならないとの見方もある。いずれにしても今後の展開によっては、少なからず台湾にも影響が出てくるのは間違いないであろう。
ただ、いつも言っているが、中華人民共和国は台湾を一度も統治していないし、実効支配もしていない。
台湾国民は1元の金も税金として北京政府に納税していない。日本人がほとんど理解していない国際常識として、国家は1つ目には国家利益(国益)と2つ目にはパワー(軍事力 経済力 確固たる信念)という国益を守る実力があるかどうか、この2つをしっかり備えているかどうかこれがなければ当然低姿勢にならざるを得ない。
馬政権になって、先ほども指摘したが、中国大陸への傾斜は非常に危険であるが、経済が低迷を続ける今の台湾の環境は、馬政権の大陸政策を大幅に認める中にあるので、今後の進展を見守らなければならないが、私のような中国に対して危険視をしている者にとっては、只、見守ってばかりはいられないのが心境である。
馬政権が対日信頼関係の新たな構築、進展の為に送り込んでこられる馮大使とは、これからも胸襟を開いて、意見を交換したいと想う。
又、台湾国民の意志として選ばれた馬総統の活躍を期待したい。願わくば終わりなき日・台友好の為に。
参議院議員
大江康弘
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