2008/07/08更新
サミットについての一考察
洞爺湖でのサミットが始まった。
別名「G8」という。Group of Eightの略称だが、日本・アメリカ・イギリス・
ドイツ・フランス・イタリア・カナダ・ロシアで構成されており、国際的に共通した経済、政治的な課題について、参加国が非公式かつ自由に 討議し、合意を形成するとされている。
この先進国首脳会議だが、発足当時は、経済や貿易などが主要なテーマであったが、現在は、環境や貧困、エイズ、犯罪や麻薬、人権、テロ、 軍縮といった社会問題や安全保障の分野に重点が置かれている。
そこで、今度の「洞爺湖サミット」だが、主要なテーマは「気候変動・温暖化対策」「食糧危機・アフリカ支援」 「原油高騰・エネルギー対策」の三項目である。特に世界中で頻発している異常気象による 自然災害は、食糧問題やエネルギー問題に直接リンクしているだけに、どこまで踏み込んだ 議論が交わされるのか注目したいと思う。
しかし気になる点も多い。
開会日前日に来日したブッシュ大統領は、日米首脳会議の中で地球温暖化について
「私は非常に現実主義者だ。もし中国やインドが私たちと同じような要求を共有しなければ、問題の解決は出来ない」
と述べ、早くもG8に参加していない国の名前を挙げ、温室効果ガス削減の具体的な数値や期限に言質 を取られまいとする姿勢が見えたからだ。
そもそもアメリカは1997年の地球温暖化防止京都会議で議決した「京都議定書」を批准せず、クリントン大統領の温室効果ガス削減に対する消極的な 姿勢を批判して、次の大統領となったブッシュも就任当時の発言から大きく
後退しているからだ。
アメリカの政界は日本とは比較できないほどロビー活動が盛んであり、 温室効果ガス削減に消極的な経済界の猛反発を恐れたブッシュの変節は、織り込み済みで無くては ならなかった筈だ。更に来年の1月に退任することが決まっているブッシュ大統領は、過去最低の 支持率23%の汚名挽回の舞台をサミットでは無く、北朝鮮の非核化によって晴らそうとしているからだ。 先の無い米国大統領、同じように低支持率の福田総理、支持率20%のブラウン英国首相、支持率30%の サルコジ仏大統領と「不人気首脳会議」と揶揄するメディアもあるほどだが、この一考察が紙面に載る頃 には既にサミットは終わっているので、果たしてどれだけの成果が出たのかがわかるだろう。
さて、サミットは1975年のオイルショックを契機として、工業化された主要民主主義国の首脳が集まり、 G6からスタートした。その後カナダ、そしてロシアが参加して現在のG8となった。つまり民主主義国家 であることが参加国の条件であることから、急速な経済成長を続ける中国が参加することはあり得ないことになる。
G8で扱われる課題は、議論のある国際的な問題であることから、その存在は非公式な「世界政府」であり、 サミットに参加していない第三世界まで決定事項を押しつけているのでは、という批判がしばしば指摘されているのも事実である。 いわゆるG8の会議で出された結論である「決議」「決定」「宣言」というものは、国際法上では何らの法的な根拠を有しない単なる 「仲間内の取り決め」以外の何者でも無いのである。そこが「制裁権」を有する「国際連合」との違いであろう。
しかし、最近の国連が、その設立の主意である「平和と安全の維持」「人権の保護」という二本柱であり、 その目的を達成する為に諸国の調整をすることとなっているが、この崇高な目的を果たしているのか疑問も多い。 特に国連からの過度の干渉を嫌う各国の思惑に配慮し過ぎだという指摘もあり、機能不全に陥っている という声も多く聞かれるのである。財政面においても、加盟国の分担金に依存しているのだが、 アメリカは数億ドルを滞納しているにも拘わらず、約20%もの高額な負担を遅滞することなく払い続けている日本は、 未だ常任理事国にすら推挙されず、いわんや戦後60数年を経過した今においても、「敵国条項」から削除さえ してもらえないのである。
もう一言加えるならば、民主主義の独立国として健全な発展を続ける「台湾」の加盟にも 堅く門戸を閉ざしたままである。こうした国連の存在価値が時代の趨勢に合わなくなりつつあると考えるのは、 私だけでは無いと思う。だからこそ、議長国がG8以外のメンバーを招待し、国連事務総長や欧州連合の委員長、 更に欧州連合理事会議長国担当閣僚を招いて開く、サミットの重要性が増している筈なのだが、偶然にも支持率の 低迷に悩む首脳ばかりが集まった今度の「洞爺湖サミット」に限って言えば、残念ながら多くの成果は期待できないであろう。
「原油の高騰、温暖化による地球環境の変化、食糧自給率の低下、紛争と飢餓」等々世界共通の課題は待った無しの状況であり、 この危機感を世界中が共有しなくてはならないことは言うまでもない。
アメリカは来年の1月に次の大統領が選出される。新しい大統領の登場によってG8が大きく変わるのではないかと予測する。「先の見えた人」と「これからの人」では、 思考回路が全く違うからだ。
結論を述べると、国連に代わって「サミット」の重要性は増すであろうし、 近い将来G9・G10と参加国は増え続けるであろう。そして「サミット」での合意は半ば強制力を伴う国際的な メッセージとして諸外国に大きな影響を与えることになるであろうし、そうならなくてはならないと、私も期待している。
私は与党、政府側の議員では無い。野党の参議院議員である。だから直接には「洞爺湖サミット」にコミットしていないのは 当然のことだ。
しかし私なりにサミットを展開している。
今度のサミットの重要なテーマの一つに「アフリカ支援」がある。
私は先月行われた横浜での「TICAD」(アフリカ開発会議)に参加し、多くのアフリカ各国首脳と知遇を得ることが出来た。
そして彼等は「洞爺湖サミット」に参加すべく再び来日している。短期間に二度も親交を温める機会を得たことは無上の喜びであり、 アフリカ問題について国会議員として取り組みなさいという啓示であると受け止め、積極的に議員外交を展開している。
昨日もセネガルとガーナの大統領と意見交換をしてきたばかりだ。アフリカ諸国の持つポテンシャルは無限であり、 地下資源などには先進国の熱い視線が送られる一方で、食糧問題、森林伐採、民族間紛争、飢餓問題など負の課題も山積している。 遅ればせながら日本も2005年からアフリカ支援に積極的に動き出したが、今回の横浜会議によって、一層具体的な支援策が決定
したことは素晴らしいことだ。
こうした一連の背景には、アフリカとの関係強化の為に、地道な努力を重ねてこられた 「アフリカ開発協会」の会長である、矢野哲朗参議院議員の活動を抜きに語ることは出来ず、党派を超えて敬意を表したいと思う。
そして来月にはアフリカ諸国の招きを受け、視察に行くことになっており、自分の目でしっかりとアフリカの現状を検証し、 今成すべき課題を見据え、今後の活動に生かしていきたいと思う。
最後に「洞爺湖サミット」について悲観的なことを言い過ぎたと反省している。
私自身は福田総理に対し悪い印象を持っていないばかりか、むしろ好意的かも知れない。だが、止めどなく流れてくる霞ヶ関の不祥事や、 医療、年金など国民生活に直結した諸課題、政局がらみに無理難題を振りかざす野党第一党の攻撃に、防戦一方となりながらも、 どこか他人事のような語り口に国民が反発したのではないかと同情している。
サミット花道論が、メディアはもとより政府与党内からも聞こえてくる。
政権与党のトップとして、どれほどの気苦労と孤独があるのか誰も計り知れないであろう。
どうか「洞爺湖サミット」では日本国総理大臣福田康夫として思い切った発言
をして欲しいと願う。
そして歴史に残る「洞爺湖サミット」を仕切った名議長として後世に語り継がれることを祈りたいものだ。
                        了 
 
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